突然の電話や自宅、会社への訪問での光回線の勧誘。不意打ちで思わずインターホンに出てしまって「月々こんなに料金が安くなります」という感じで乗り換えなどをすすめてくるのでついつい話を聞いてしまったなんてことありますよね。
または自分は大丈夫でも家族が勧誘で契約してしまったということもよくあります。
光回線の勧誘は前からよくあるのですが、数年前にNTTが光回線の卸売(光コラボレーションと言います)を始めてから光回線の悪質な勧誘が増え契約トラブルが増えています。(国民生活センター「光回線サービスの卸売に関する勧誘トラブルにご注意!」参照)
一番多いのは料金が安くなると言われて契約したのに実際は料金が安くなっていないというトラブルですが、中には「この地域の光回線が変わるのでサインしてください」といってだまして契約させようなんていう勧誘もあったりします。ここまでいくと勧誘というより詐欺に近いですね。
そこでこのページでは、光回線の勧誘のパターンと悪質な勧誘でなのかそうではないのかの見分け方と対策方法を解説していきます。
「一度契約してしまうと違約金が発生するんじゃない?」「勧誘に来たのは怖い業者なのかな?」と不安になっている人もいると思いますが、このページを読んでもらえれば大丈夫だと安心してもらえると思います。
光回線の勧誘にはパターンがある
ではさっそく勧誘のパターンを紹介していきましょう。
勧誘には訪問と電話がありますが、勧誘のパターンはだいたい決まっているので、そのパターンへの対策や対処法について説明します。
パターン1 安くなるといって光回線の乗り換えをすすめてくる
光回線の勧誘のパターンでもっとも多いのが、この「月々の料金が安くなる」といって勧誘する方法です。
この勧誘方法は各光回線の代理店や光コラボ事業者が一番得意としている勧誘方法で、日頃からインターネット料金が高いなと思っている人、安くなる方法に興味を持っている人など、少しでも家計を節約できたらという人は思わず聞いてしまう人が多いのもわかります。
この勧誘方法は、本当に料金が安くなるのであれば何も問題ありません。実際に割高なインターネット回線や契約プランを使っている場合や、光コラボ業者によっては今払っている料金より安くなることもあります。
ところがこの勧誘方法、悪質な勧誘をする時にもっとも使われる方法でもあるので注意が必要です。
安いというので契約したら実際は安いどころか高くなってしまい、さらに解約しようとしても高額な違約金を請求されるというトラブルが各県の消費生活センターや国民生活センターで報告されていて注意喚起がされています。
・国民生活センターの事例
・神奈川県の事例
このパターンでは、実際に契約し工事が完了して請求が来た時に「あれ?安くなってない!」と気づくことになります。
そして業者に安くなっていないと連絡をしても「契約は済んでいる」「料金が高くなる可能性があること、解約には違約金が発生することは契約時に説明している。」などと言われて初めて悪質な業者にだまされていたことに気づくことになります。
国民生活センターの事例だとパソコンを遠隔操作までされているので、かなり技術力が高い悪質業者にとり込まれてしまった様です。ここまでしてくる業者は多くはないとはいえ、パソコンまで遠くから操作されてしまうというのは怖いですね。
この勧誘のやっかいなところは、大手の回線やプロバイダの名前を出してくるので警戒心が低くなってしまうところにもありますが、こういった勧誘をされたら悪質な業者かもしれないと疑いましょう。
パターン2 地域や住居で光回線が切り替わると言われる
「この地域(または住居)で光回線が切り替わるので新しい回線での契約が必要です」と契約させようとするパターンです。これは訪問での勧誘のパターンでよく見る方法です。
まず地域で光回線が変わるという話の方ですが、そんなことは絶対にありません。基本的に自分の持ち家であれば誰がどの光回線を使おうと個人の自由なので、同じ地域内の住居が全て同じ光回線を使うなんていうことはありません。こういった業者はウソをついているので100%悪質な勧誘です。
次にマンションやアパートなどの住居で光回線が切り替わるという方ですが、マンションやアパートで一斉に違う光回線が導入されることはそこまで多くないですが、オーナーなどが負担を軽くするためにする可能性はあります。
ただその場合は事前に通知や確認があるはずなので、いきなりの訪問や電話の場合は悪質な勧誘の可能性が高いです。もし気になるのであれば住居のオーナーや管理会社へ連絡すればすぐに分かるので、確認してみましょう。
このパターンの勧誘は悪質な可能性が高いので話は聞かずに帰ってもらいましょう。
パターン3 古い回線は使えなくなるからと光回線への乗り換えをすすめる
「ADSLやISDNなどの古い回線は光回線に切り替えないと使えなくなる」といって光回線への乗り換えをすすめてくるパターンで、これも悪質な業者による勧誘です。
たしかにこういった光回線より前のインターネット回線の終了を決定する業者が出てきています。特にNTTがフレッツADSLとISDNのサービスを終了させるのは大きなニュースになりました。
ただし、廃止になるのはもう少し先の話で、しかも廃止になる場合は代わりとなる回線が案内されます。
NTTが公表している内容
・ISDNは2024年初頭に一部の地域を除いて終了
・ADSLは2023年1月末に一部の地域を除いて終了
・光回線がない地域では終了しない
・代替サービスとして同等のものを案内する
参考:NTT東日本「フレッツ光」提供エリアにおける「フレッツ・ADSL」の提供終了について
しかも終了が決まったのはNTTのフレッツISDNとフレッツADSL・だけで、ソフトバンクや楽天などの他のADSLでは現在のところ終了の予定はありません。
NTTの発表がニュースになったので、これに目をつけた悪質な業者が光回線以外の古い回線が使えなくなると不安をあおって契約をさせようとしてるという訳です。
このパターンの勧誘をしてくる業者もほとんどが悪質な業者なので話は聞かないようにしましょう。
ただNTTからこういった回線の終了の発表があったのは間違いないので、NTTのISDN・ADSLを使っている人はNTTからの案内だけを頼りにせず、これを機にインターネット回線の乗り換えを検討しておいても良いと思います。終了時には多くの人が動くので混雑などが予想されます。直前だと工事や手続きが遅くなる可能性があるので早めに動いておくと良いと思います
悪質な業者かを事前に見極める方法
まず知っておきたいのは、NTTやKDDIなどの大手の回線会社が突然勧誘の電話や訪問をすることはほとんどないということです。
こういった大手回線会社ではそういったリスクを取ることはしないで、代理店に販売を委託をしています。代理店は回線会社とは完全に別会社で、1件とればいくらという契約を回線会社として勧誘にかなりの力を入れています。そして残念なことに中には悪質な勧誘をしているところもあります。
悪質な業者か判断するために、まずは法律を守った勧誘をしているかどうか確認してみてください。光回線の訪問販売や電話勧誘は「電気通信事業法」という法律でルールが決まっています。
この法律の中で光回線の悪質な勧誘と特に関係がありそうなところを抜きだしてみました。
- まず初めに「会社名」「勧誘目的ということ」「どこの光回線をすすめにきたのか」を言わなければいけません。
・再勧誘の禁止
- 一度ハッキリと断られたらそれ以降は勧誘することはできません。
・不実告知
- 嘘をついて勧誘してはいけません。
・事実不告知
- 都合の悪いことを隠して勧誘してはいけません。
・書面交付義務
- 契約が成立したら契約内容を明らかにする書面を渡さなければいけません。
こういったルールは勧誘をする業者であれば絶対に知っていることです。知っていて無視する業者は悪質な業者の可能性がかなり高いと考えましょう。あとでトラブルになる様な悪質な勧誘を行っている業者はこういった法律を守っていないケースが多いです。
相手方が自分の会社名を名乗ったり名刺を渡してきていたらその会社名でパソコンやスマートフォンなどで検索してみてください。そういった会社はいろいろなところで勧誘をしているはずなので口コミがある可能性は高いので、どういう業者なのか知ることができます。
ただ、悪質な勧誘をする業者と言っても勧誘が悪質というだけで怖い人が出てくるわけではないので大丈夫です。それでももし怖いなと感じることがあれば近くの消費生活センターに相談してみましょう。
対処法(契約前)
まだ契約前ならはっきりと断るか、もし話を聞く約束をしたとしても今後は連絡を取らないのが正解です。
電話番号を教えていない業者が突然電話してきたり、訪問してきたりして勧誘するのはセールス以外に考えられません。まずは話を聞かない、もし聞いてしまっても契約は絶対にしないと伝えることが大事です。
それでもしつこく訪問や電話があるようであれば、無視するか、回線会社に苦情を入れる、国民生活センターや消費生活センターに報告するということを伝えて警告しましょう。法律では一度断った相手にまた勧誘をするという行為を禁止しているので、そのことを伝えるのも効果があります。
帰って欲しいと言っても帰らない場合や怖いと思ったら警察を呼ぶことも考えましょう。
契約は口約束でも成立してしまうので、その場しのぎのために承諾したり、はいはいなどと答えずにはっきりと「必要ない」「契約はしない」と断るようにしましょう。
対処法(契約後)
悪質な勧誘をされてすでに契約してしまっていた場合はもちろん勧誘で契約した場合、条件でいろいろと内容が変わりますが確実にキャンセルすることはできます。
契約時期の条件などによって取れる方法が違ってくるので、ここから解説していきます。
決められた期間内なら一方的に契約を解除できる
訪問や電話での勧誘から契約した場合だけ、消費者側から一方的に解除することができる法律と業界のルールがあります。
勧誘にきた業者の承諾が必要ないので、話し合いをする必要がないというのは大きなメリットです。
無償で契約をキャンセルできるケース
電気通信事業者の団体では自主基準で、もし契約をしてしまっても「工事やサービス提供の開始前なら一方的に無償でキャンセルできる」と決まっています。
あとで紹介する「法律で決められた早期契約解除制度」でも一方的に契約を解除できますが、「契約書を受け取って8日以内」と期間が決まっていて、さらに工事代金や事務手数料などは支払わなくてはいけないことになっているので、『工事やサービス提供の開始前』であれば全てが無償で解除できるこのルールを使って解除した方が損失が少なくて済むことになります。
参考:電気通信事業者の営業活動に関する自主基準及びガイドライン
8日以内なら違約金などを払って契約をキャンセルできる
法律でクーリングオフに似た「初期契約解除制度」というものがあり、勧誘での契約は解除できることが決めれれています。
参考:国民生活センター「初期契約解除について」
光回線の初期契約解除制度のポイントとして、
2.完全に無償で契約を解除するクーリングオフはできない
というポイントがあります。
2については支払いが免除されるのは「違約金」のみで、免除されるのは違約金のみで解除までの利用料と工事費、事務手数料は払わなければいけないことになっています。
解除する方法は、書面で相手方に通知することになっているのでハガキや封書に「契約者」「住所」「相手の会社名」「契約日」「担当者」「サービス名」「契約を解除する」という内容を書いて郵送しましょう。できればしっかりと相手方に届いたと証明できる書留などで送るとより確実です。
ひとつ安心して欲しいのは、こういった契約を結んでもものすごく高額なお金を払わされるということはほとんどないということです。
1点気をつけてほしいのは、光回線の契約とは別に高額な保守契約を結んでしまっていた場合です。これはパソコンに不慣れな高齢者が勧誘されるケースが多いので家族がそういった契約をしていないかという点には気をつけましょう。
契約の無効を主張する
勧誘してきた業者が嘘をついて、それを信じて契約したということなら基本的には契約は無効になります。法律的にいうと「錯誤による無効」というものです。
ただ一方的に解除することは難しく、相手がそのことを認めて解除するか、認めなければ裁判で争うことになります。
こうなってくると言った言わないということになるので、相手方が嘘をついたという証拠が必要になります。普通はこういった証拠を取っておくということはほとんどないと思うので、相手方が認めないとこの手段はかなり厳しくなってきます。
通常の解約手続きをする
あくまでも光回線の契約なので今まで説明した方法を使わなくても、通常の手続きで契約を解約することができます。
ただこの場合は、違約金、事務手数料、工事費などは全て負担するということになるので、数万円程度負担をすることになると思います。
ちょっともったいないですが、面倒はどうしてもイヤという人は通常の解約手続きをするのも考えてみましょう。
光回線の乗り換えガイド
光回線の料金は選び方や携帯との組み合わせなどで年間数万円~10万円ほど安くなることも。乗り換えにはほかにもメリットがたくさんあります。
まとめ
悪質な業者だと分かったらとにかくハッキリと断る、連絡を取らないのが正解です。
ただ、もし契約してしまっても取り返しがつかないということはほとんどないのでそこまで心配しないでも大丈夫です。
まず検討するのは無償で解約できる「業界ルールでの契約解除」。次は違約金のみ免される「初期契約解除制度」。解除できる期間は短いですが、正当な勧誘や契約だったとしてもこの2つは使えます。
解除制度が使えなくても金銭的な負担をすることで解約はできます。電話番号に関しては戻せるかは元の回線会社の対応次第ですが、元の回線に戻すのは違約金の数万円でできるのでそこまで心配することはありません。
もし違約金やオプション契約が法外に高いという場合や、自分一人では解決できないと感じたら近くの消費生活センターに相談しましょう。
突然の勧誘とか電話ってほんと迷惑。。。。でも料金が安くなるとか言われたら思わず話を聞いちゃうかもしれないし。。。セーフティネットはあるけど気づかずに契約してたなんていうことがないようにしないと。